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将軍への公開書簡
 
Posted: 11/5/2002

 私のところに送られてきた手紙やニュースのうち、是非とも読んでいただきたいものを転載します。これはイスラエルのユダヤ人の手紙です。

 広河 隆一

 (以下転載)

 将軍への公開書簡

 2002 年 10 月 28 日

 将軍殿
 あなたの戦車はとても強力な乗り物です
 森を粉々にし、百人もの人々を鎮圧するのですから
 でも、その戦車には一つの欠点がありますね
 操縦する人間が必要なんです
 -- ベルトルド・ブレヒト

 将軍 殿

 あなたからいただいた手紙によると、「ジュデア・サマリアとガザ回廊での現在遂行中の戦争ゆえに、また軍の必要性という観点ゆえに」との理由から、私は、西岸地区での「軍の、こうした複数の軍事作戦に参加するように」との招集を受けました。

 私は、この招集に従うつもりがないのだということを告げるために、あなたに手紙を書いています。

 1980 年代にアリエル・シャロンは、占領地の重要な地域に数十の入植地を建設しました。それは、パレスチナ人たちを服従させ、彼らの土地を没収するという最終的な目標のための戦略でした。今日、これらの植民地は、占領地のほとんど半分を支配しており、パレスチナ人たちの町や村を圧迫し、さらにはその住民たちの移動を -- たとえ完全に禁止しているのではないにせよ -- 妨害し続けています。今やシャロンは首相であり、昨年から彼は、20 年前に自らが開始したイニシアチブの最終的な段階に向けての前進を開始しているのです。実際にシャロンは、彼の従者たる国防大臣に命令を与え、そこから一連の指揮命令が下されます。

 軍参謀長は、パレスチナ人が癌のような脅威なのだと宣言し、その彼らに対しては化学療法を適用するとの命令を発しました。准将は期限なしの外出禁止令を出し、そして大佐はパレスチナ人たちの農地の破壊を命じました。師団長はパレスチナ人たちの集落にある丘の上に戦車を配置し、救急車が負傷者を運ぶことを禁止しました。中佐は、発砲のための規定が、無差別の「撃て!」という命令に変更になった、と宣言しました。戦車長は、一群の人々が居る場所を砲撃地点として定め、砲撃手にミサイルを発射しろと命じました。

 私が、その砲撃手です。私は、パーフェクトな戦争マシーンの中の小さなネジ。一連の指揮命令系統の、最後にして最小の環です。単に命令に従うものだと見なされています。刺激に反応するだけの存在へと自らを切り縮め、「撃て」という声を聞いたらトリガーを引く。そうして全体としての計画を完成させるのだ、と。私は、これら全てを、ロボットのごとき単純さと従順さをもって行うものだと見なされています。せいぜい、標的に向かってミサイルが発射された時に、その戦車の振動を感じ取る程度なのだ、と。

 けれど、ベルトルド・ブレヒトは、こう書いています。

 将軍殿
 男とは、とても便利です
 空を飛ぶこともできるし、人を殺すこともできます
 けれど彼には、一つの欠点がありますね
 考えることができるんです

 そして実際に、将軍 -- あるいは、あなたが大佐であれ師団長であれ、軍参謀長、国防大臣、首相であれ、あるいは、それらの全てであれ --、私は考えることができます。

 多分、私には、それ以上の能力は、大してありません。とりわけ適性のある、あるいは勇敢な兵士などではない、ということは告白しなければなりません。つまり、射撃は下手だし、技量は最低です。運動もダメだし、軍服が私の体に心地よくフィットすることもないのです。でも私は、考えることができます。

 私は、あなたが私をどこへ導いてゆこうとしているのかを承知しています。私たちが人を殺し、破壊し、そして負傷し死ぬのだということが、なのに終わりが全く見えないのだということが、私には分かります。あなたが言う「現在遂行中の戦争」が、ずっと続くのだということを、私は知っています。もしも「軍事的な必要性」が、ある人々の全体を封鎖し、狩りたて、餓死させるようにと私たちに命じるのなら、その「必要性」なるものは、ひどく誤っているのだ、ということが私には分かります。

 それゆえに私は、あなたの命令に従うことはできません。私は、トリガーを引かないでしょう。

 私は自らを欺くことはできません。当然のことです。あなたは、私を追い払うことはできるでしょう。別の砲撃手を見つけることもできるでしょう。私よりも、ずっと従順かつ優秀な人物を。そんな兵士に事欠くことはないでしょう。あなたの戦車は前進し続けるでしょう。私のようなアブが飛び回っても、前進する戦車を止めることはできません。その車列の一つさえ、もちろん、その全隊列などを止めることは絶対に不可能です。けれどもアブは、ブンブンと音をたて、うるさがらせ、小言を云い、時にはかみつくことさえできるのです。

 結局のところ、無感覚な殺人や終わりのない暴力の循環を続ける砲撃手たち、操縦士たち、そして指揮官たちもまた、考え始め、そしてブンブンと音をたて始めるでしょう。もう、すでに私たちには、数百人の仲間が居ます。いつか、私たちのブンブンという音が、耳をつんざくような大きな声となって、それがあなたの耳にも、また、あなたの子供たちの耳にも届く日が来るでしょう。私たちの抵抗は歴史の本に記録され、あらゆる世代の人々がそれを目にすることができるようになるでしょう。

 だから将軍、私を追い払う前に、どうか、考えるということを始めてくださいませんか。

 敬具

 イーガル・ブローナー (Yigal Bronner)

◆ 原注: Yigal Bronner 博士はテル=アヴィーヴ大学でサンスクリットを教えている。彼は、28 日間の刑期を終えた後で、電子メールに応答することができるだろう。彼のメール・アドレスは「yigalbronner@yahoo.com」。

◆ 翻訳者による付記: 以上のテキストは「Dissident Voice」のホームページ (http://www.dissidentvoice.org/Articles/Bronner.htm) にも掲載されている。

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