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【エルサレム 31 日朝 (日本時間同日午後)】
西エルサレムの中心街、特にジャッファ通りは、厳戒体制下にあります。警察、軍だけでなく、国境警備兵までかり出され、交差点では数十人もが監視をし、道行く人を止めて、身分証明書を確認しています。
一方、パレスチナ人の居住区である東エルサレムには、ほとんどイスラエル軍や警察の姿が見えません。「危険地域」は東エルサレムではなく西エルサレムになってしまったのです。こんなことは初めてです。テレビのニュースでは、エルサレム中心街はまるで軍事基地のようになってしまった、と嘆いています。まったくそのとおりです。住民からは「エルサレムに住む人間には税制優遇措置をしてもらわなくては」という声もあがっています。危険手当というわけです。
イスラエルのユダヤ人に決定的なショックを与えたのが、27 日の「自爆テロ」です。150
人以上が負傷し 1 人が死にました。飛び散った血は 50 メートル離れた商店の壁にも付着し、それを除去するために、夜遅くまで壁を削り取る作業が続いていました。
私はこれまでの「自爆テロ」とは一線を画する歴史的な新しい段階に入ったような気がしました。ニューヨークの「自爆テロ」とは異なる点は、イスラエル人がこの「自爆テロ」の原因を知っていることです。しかもシャロンが軍事行動をとったら、その瞬間にイスラエル人は次の「自爆テロ」を覚悟しなければならなくなったのです。シャロンは軍事行動がテロを防げないことを、国民に示してしまいました。
いや、テロというよりは、「非常に残酷なレジスタンス」と呼んだ方がいいのでしょう。
昨日、これを決行したのがファタハの女性だったと発表がありました。これも新しいことです。数日前にパレスチナテレビの建物に行ったら、イスラエル軍に爆破された建物を警備していたのが、パレスチナの女性兵士でした。彼女は夫を殺された人です。
「正義かテロか」というブッシュが世界に押しつける論理は、ここでは通用していません。イスラエル人の過半数も、自分たちに正義があるとは思っていません。占領こそが、この激しいレジスタンスの原因であることを、知っている人は多いのです。
そしてテロを非難する声が世界中から集まっている中、ジャッファ通りで自爆した彼女は、難民を中心としたパレスチナ人民衆から賞賛されています。彼女には子供がいて、離婚したあと、医療ボランティアとして働いていたといいます。彼女が決行にいたった動機は、今後、もっと分かってくるでしょう。
シャロンのやり方が続く限り、このあとも彼女に続く女性「テロリスト」が続々と出てくるでしょう。シャロンは強圧的なやり方で、パレスチナ人のレジスタンスを封じようとしました。しかし彼女の爆死は、シャロンのやり方には出口がないことを教えたのです。
事件の前日、ピースナウの集会に行きました。しかし無惨なくらい小規模でした。200
人ぐらいでしょうか。なぜこんなに少ないのか聞いたら、みんながっかりして力をなくしているのだといいます。スローガンは「占領反対」、「シャロン・流血政府」、「暗殺はテロを生む」などでした。そして極右カハ運動は、「左翼がいなくなればテロはない」というステッカーを配り始めました。かつては「パレスチナ人がいなくなればテロはない」だったのに、ターゲットをイスラエル内和平派に絞ってきたのです。
この間に予備役の士官たちが 50 人、占領地での兵役を拒否する手紙を発表しました。彼らは戦争犯罪人になることを恐れて、署名したのです。占領、弾圧に荷担したくない、ユダヤ人入植者を守るための兵役につきたくない、と彼らは言います。彼らを紹介する番組で、拷問、虐待、顔をつぶされて殺されたパレスチナ人の写真が、テレビで一瞬、流れました。
彼らの兵役拒否がイスラエルを揺さぶっています。ユダヤ百科事典の編者で、イスラエル最高の知識人と言われたレーボビッチが、生前、500
人の士官が占領地の任務を拒否したら、占領体制は崩れるだろうと言っていた言葉を受けて、数ヶ月前にこの動きが始まったのです。イスラエルにはこれまで、占領地での兵役拒否運動「イエシュ・グブール」、学生の占領地での兵役拒否運動「グリーン・ライン」がありましたが、今回は士官クラスの拒否運動で、かなり軍の上の方まで参加があります。どこまで広がるかが鍵ですが、和平に向けて、数少ない希望的動きのひとつです。

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